遺産分割協議が終了して、相続財産の分配方法が決まったら、相続財産の分割手続きを行っていきます。こちらのページでは主だった名義変更や預金解約の手続きと必要書類に関してお話をいたします。

 

12 名義変更と解約手続き

 

・銀行預金の解約や引継ぎ
 銀行の窓口や郵送にて解約や名義変更を行います。銀行によって、どの支店でも手続きができる銀行、口座のある支店でしか手続きができない銀行があります。この場合は郵送による手続きが便利です。
 各銀行によって指定の用紙があり、必要な資料も異なっていますが、一般的に
・指定の書式
・遺産分割協議書もしくは遺言書
・法定相続情報一覧図(もしくは戸籍一式)
・他の相続人の委任状、
・相続人全員の印鑑証明書
 が必要になります。指定の書式は「残高証明書」を取得するときに同時に入手しておくと便利です。
 解約の場合は、残高を振り込み先を指定し、遺産分割協議書や遺言書の通りに分割して金額を振り込むことも、一か所に振り込み、後に分配することも可能です。なお、ゆうちょ銀行にかんしては、ゆうちょ銀行にしか振り込みができませんのでご注意ください。

・不動産の名義変更
 不動産の名義変更(相続登記)をお手伝いできますのは司法書士のみとなります。次のページにてお話しを差し上げます。

・自動車
 はじめに自動車検査証(車検証)で(「使用者」ではなく)「所有者」を確認してください、「所有者」がローン会社やディーラーのままですと返済が完了していませんので、ローンの残債を返済して「所有権の解除」を行うか、「使用者の変更」を行い、相続人にローンの引継ぎを行う必要があります。
 保管場所(車庫)が変わる場合や、亡くなったかたと相続人の住所が異なると、保管場所証明書(車庫証明)が必要になりますので名義変更より前に保管場所(車庫)の所在地を管轄する警察署で取得しておきます。
 自動車の名義変更は、相続人の住所を管轄する運輸支局にて「移転登録の申請」を行います。この時、自動車の使用の本拠地が変更になりますと、ナンバープレートの変更が必要となります。自動車のナンバープレートは封印されており、取り外すことはできません。陸運支局へ車両を持ち込むか、出張封印でナンバープレートの変更をする必要が出てきます。
 名義変更に必要な資料は、
・移転登録申請書(ナンバープレートが変わる場合は「変更登録申請書」)
・自動車検査証(車検証)
・遺産分割協議書もしくは遺言書
・法定相続情報一覧図(もしくは戸籍一式)
・相続人全員の印鑑証明書
・(必要であれば)保管場所証明書(車庫証明)
 などになります。手数料はナンバープレートの変更が無ければ500円、ナンバープレートの変更があった場合は手数料350円とナンバープレート交付手数料が2,000円ほどかかります。
 なお、査定価格が100万円以下の自動車の場合、遺産分割協議書が無くても、「遺産分割協議成立申立書」を用い、代表者単独で名義変更の手続きをすることも可能です。

・軽自動車
 はじめに自動車検査証(車検証)で「所有者」のチェックをするのは自動車と同じです。
 軽自動車は保管場所証明書(車庫証明)を取得する必要はありませんが、都市部のほとんどで「保管場所届出」(車庫の届出)を名義変更後に保管場所(車庫)の所在地を管轄する警察署に提出する必要があります。
 軽自動車の名義変更は、相続人の住所を管轄する軽自動車検査協会にて行います。
 自動車と同じく、使用の本拠地が変更になりますと、ナンバープレートが変更されますが、軽自動車のナンバープレートは封印されておらず取り外しができますので、軽自動車検査協会にナンバープレートのみを持ち込むことが可能です。
 必要な資料は、
・自動車検査証記入申請書
・(変更があれば)はずしたナンバープレート
・自動車検査証(車検証)
・遺産分割協議書もしくは遺言書
・法定相続情報一覧図(もしくは戸籍一式)
・相続人の印鑑証明書
 などになります。手数料は無料ですが、ナンバープレートの交付料が必要になります。自治体によって金額は変わりますが、おおむね1,600円からとなります。

 相続財産の中でも主だったものとなる預金の解約や自動車、軽自動車の名義変更に関してご説明いたしましたが、どの手続きも最新の注意を払って行わなければなりません。また手間も多く、時間的負担も大きくなってしまいます。
 相続財産の解約や引継ぎも、ぜひ手続きのプロであるわたくしども行政書士にお任せください、安心確実に手続きを代行いたします。

 次のページでは不動産の名義変更と相続税の申告にかんしてお話したいと思います。