それではいったい、どんなかたが遺言書を書かれた方がよいのでしょうか、代表的な例をご紹介させていただきます。

   

5 遺言書を書いた方が良いかた

  

1 争いにしたくない

 遺言書がありませんと、残されたみなさまで集まってお話し合いをしなくてはなりません。言った、言わないですとか、少額の財産でももめ事が起きてしまうかもしれません。遺言書が書いてあれば、基本的には遺言書のとおりに手続きが進んでいきます。

2 手間を減らしてあげたい

 お話し合いの手間がなくなりますから、集まるための時間的負担や、精神的負担も減らしてあげることができます。

3 お子様がいない

 ご本人にお子様もお孫様もいらっしゃいませんと、人それぞれですが、連れ合いのかた、親御さん、兄弟姉妹のかたが財産を引き継ぐことになります。そのような場合になるべく連れ合いのかたに多く財産を残したい場合は、遺言書で書いておかなければなりません。

4 特定の人に財産をあげたい

 お世話になった友人や、お子様の連れ合い、甥姪は、放っておくと基本的にはなにも財産が引き継がれません。このかたがたに財産を残してあげたいときも、遺言書にしっかり書いておかないといけません。また、この場合は、「遺言執行者」を指名しておいた方が良いでしょう。「遺言執行者」にかんしては、あとのページでお話しいたします。

5 子供の仲が悪い

 お子様の仲が悪いと、お話し合いもまとまらなくなりますし、なによりもめ事の恐れが大きくなってしまいます。

6 お店を営んでいる、会社を経営をしている

 ご家族で、お店をやっていらっしゃる、会社を経営されているかたは、遺言書で誰がそのお店、会社を継ぐのかをはっきりさせた方が引き継ぎがスムーズになります。遺言書にお店の権利、会社の株券などを誰に相続させるかを書くことにより、誰がそのお店、会社を引き継ぐのかがはっきりします。これによって、お店のかたも、会社の社員の皆様も安心してお仕事を続けることができるようになります。

7 相続人の人数が多い、財産がたくさんある

 人数の多いお話し合いや、財産が沢山ありますと、もめ事もさることながら、手続きもひじょうに大変になってしまいがちです。遺言書で、財産の分け方をはっきりしておくことと、さらに前述の「遺言執行者」を指名しておけば、手続きも遺言執行者が進めることができ、遺言書内容の実現に近づきます。

8 連れ合いのかたがすでに他界されており、子供しかいない

 「ウチはみんな仲がいいから大丈夫。」と言われましても、誰が家族を束ねているのでしょうか?ご本人はお気づきにならないことが多いのですが、年長者、家長として、ご自分が「カナメ」になっているかたは多いと思います。「カナメ」が無くなった後も、みなさんはまとまっておられるでしょうか?お子様たちだけになったときに「もめない」と言い切れるでしょうか?

     

 いかがでしょうか?財産をどう分けるかだけでなく、遺言書を書くことによって、自分の思いを伝えることができますし、いろいろな問題を解決することもできます。遺言書でさまざまな人を幸せにすることができるのです。

     

 「もめない」といえば、財産のあたらしい分け方として、「清算型」の遺言・相続も注目されています。次のページでは、この「清算型」の遺言・相続にかんしてお話をしたいと思います。