ここでは、いま注目の「清算型」遺言・相続にかんしてお話しをさせていただきます。

    

6 清算型遺言・相続にかんして

    

「清算型」遺言・相続とは?

 遺言書で、あらかじめ財産の全部、または一部をお金にかえてしまうことを指定しておき、じっさいにその時になったら財産を売るなどして、現金にかえてから分ける相続の仕組みです。

 とくに家、土地などの分けづらいものを分けるときに使われ、手続きを行う「遺言施行者」を指名しておくことが大切になります。

   

どんなときに有効なの?

・家、土地はもう子供も持っているので、実家を引き継がせてもかえって迷惑になるとき。

・特定の人に多めに財産を分けたいが、バランスがとりづらくなっているとき。

・連れ合いのかたが介護をうけており、身の回りの世話や、生活にお金が必要になっている。

・縁の遠い親戚に財産を分けるときに、家、土地そのものが引き継がれると負担になってしまう場合がある。

・財産に借金があり、その返済にあててほしいとき。

・お友達などお世話になった方に財産を分けたいが、手間のかからないかたちで受け取ってほしいとき。

・家、土地の価値が高く、取り合いになってもめてしまいそうなとき。

・その他迷惑をかけたくないとき、「遺留分」(のちほどお話しいたします)が気になるとき、現金が必要なときなど。

   

どのようなメリットがあるのか?

・分けづらい財産も、お金にすれば1円単位で分けれるので、公平に分けることも、誰かに多めに分けることも自由に決められます。

・現金になっていれば、分けられたかたの手間も負担も無くなります。

・連れ合いのかたなど、なにかと物入りになりますが、当面の現金が手に入ります。

   

遺言執行者が大事です

 精算型遺言を書くときは、遺言執行者を指名しておきましょう。じっさいの売却などの手続きも遺言執行者が一人で進めることができますので、スムーズに進みます。のちほど指名することもできますが、新たに依頼する手間や、費用が発生してしまいます。

   

 かんたんな説明になってしまいましたが、このような「清算型」が注目されています。財産を「形」で残すことを目的とせず、「実」をとるあたらしい考え方と言えるでしょう。「清算型」遺言・相続で重要なのは遺言執行者の存在です。私たち行政書士も遺言執行者としてお手伝いすることができます。専門家として遺言書作成のときからお手伝いできますので、安心してお任せいただけます。

   

 それでは、あたらしい遺言・相続の考え方を見たところで、基本的な相続の仕組み、もお話ししておきたいと思います。次は「相続の仕組み」です。