こちらでは、前ページと同様に、最近はじまりました新しいきまりやルールをさらにお話したいと思います。

      

遺言・相続のこと 10 遺言・相続のあたらしいきまり 2

     

4 当面の生活費などを銀行からおろせるようになった  (令和元年7月より)

 今まででは、あるかたが亡くなられますと、そのかたの銀行口座は取引がストップされ、お金を出したり入れたりすることができなくなっていました。突然のことになりますと、手元に現金がないとその日の生活に困ったり、お葬式などにもお金がかかってしまいます。

 そこで、上限はありますが、ある程度のお金を貯金などからおろせるようになりました。どんなに預金、口座があっても、1つの銀行から150万円、またおろせる金額の総額にも上限があり、そのかたが分けられる財産の、法律で決まっている分の1/3までですが、当面の生活には困らないような配慮がなされました。

 ただし、ここでおろした現金の額は、後ほど財産を分けた時に「先どりした」として、その分をひかれてしまいます。

     

5 家が子供のものになっても、連れ合いが住み続けられるようになった  (令和2年4月より) 

 財産のなかで、家、土地はどうしても金額的に大きな部分をしめてしまいます。法律で決まっている分けかた(法定相続)をしたとき、連れ合いのかたが、一緒に暮らしていた家、土地を引き継ぎますと、ほかの財産が分けられなくなってしまうことがありました。

 お子様が家、土地を持っておいでで、実家を引き継ぐ理由がないとき、思い出のある家だから、そのままそこに住んでいてね、と親御さまに家、土地を引き継いでもらうときも、同様のことがおきてしまいます。

 かんたんに言いますと、住む家はあっても、生活するお金がなくなってしまうのです。

 新しくできたきまりは、連れ合いのかたが家、土地そのものを引き継ぐのではなく、そこに住む「権利」をずっと安い金額で設定し、その権利だけを連れ合いのかたが引き継ぐ、というものです。家、土地はたとえばお子様が引き継いでも、連れ合いのかたはずっとそこに住んでいてよいですし、分けるぶんの金額が安くなった分、現金ですとか、ほかの財産も分けられるようになり、生活するのにも困らくなる、連れ合いのかたの生活を考えた、あたらしいきまりです。

 このきまりは、遺言書に書いておくか、みなさまのお話し合いのどちらかでどうするかをきめることができます。遺言書に書くときは、「遺贈する」(あげる)の書きかたをします。

    

6 自分で書いた遺言書を役所があずかってくれるようになった  (令和2年7月より)

 ご自分の肉筆で書かれた遺言書は、今まではご自宅の金庫、引き出しなどにおいておかれることが多かったのですが、見つけてもらえなかったり、なくなったり、捨てられたり、なかみを書きかえられてしまうことも考えられました。特に最近は、地震、水害などの自然災害で、せっかく書いた遺言書がだめになってしまうこともおきています。

 この仕組みは、自分で書いた遺言書を「法務局」という役所で電子データとして、あずかってくれるものですので、こまかいルール・手続きはありますが、自然災害があっても安心ですし、家庭裁判所による遺言書のチェックも必要なくなります。費用も3,900円しかかかりません。

 ただし、ご本人が「法務局」まで出むかないといけませんし、預かるだけですので、遺言書の内容がルールにあっているか、自分の思い通りになるかなどは教えてくれません。手書きの遺言書を書くようでしたら、家においておくよりかは安心でしょう。

 

 いかがでしょうか?短いあいだにいろいろなあたらしいきまりや仕組みが始まっています。とくに、残された連れ合いのかたが暮らしやすくなるきまりが多くはじまりました。あたらしいきまりをよくわかって遺言書を書く、相続を考えることが大事になってきました。

  

 次のページでは、ご自分でかんたんに書ける遺言書のメリット、デメリットをお話ししたいと思います。