ご自分の肉筆で書く遺言書「自筆証書遺言」は、いちばん身近な遺言書としてたくさん紹介されていますので、とりあえず書かれてみたりなど、多くのかたが接する機会も多いと思います。その身近な、自分で書く遺言書のメリット、デメリットをご紹介したいと思います。
11 自分で書く遺言書のメリット・デメリット
メリット
・かんたんに書ける、すぐに書ける
ご自分が肉筆で書くのであれば、どんな紙に書いてもよいですし、思い立ったときにいつ、どこで書いてもかまわないです。そして、みとめ印でもよいのでハンコが押してあれば、それだけで完成します。
・すぐに書きなおせる
書きやすいので、まちがいがあったり内容を変えたくなったとき、すぐに新しいものをご自分で書きなおすことができます。ただし、古いものはちゃんと捨てることをおすすめします。
・費用がかからない
ご自分で書くだけですので、紙と筆記用具くらいしか用意するものがありません。家にあるものだけで、誰にもなにも頼まずに書くことができます。
デメリット
・書くのが大変、疲れる
すべての内容を直筆で書かなければなりません。便せん一枚の文章を、まちがいがないようにていねいに書いていくのは、けっこう大変ですし、財産がたくさんあるかたは、よりいっそう気をつけて書かなければなりません。
・家庭裁判所によるチェックが必要になる
ご自分で書いた遺言書は、自宅で保管してあるときは、封を開ける「前」に家庭裁判所に持っていき、本物かどうかをチェックしなければなりません。これに違反すると5万円以下の罰金(過料)が科されます。注意してください。
・書き方、内容に不備があると実現できなくなってしまう
遺言書・相続には、決められているルールやきまりがたくさんあります。自分がこうしたい、こうしてほしいと思って遺言書を書いても、それらに反していますと、書き方や内容によっては、遺言書の内容が実現されなくなってしまうときがあります。
・見つけられない、書きかえられてしまうおそれがある
自宅に保管してあると、遺言書が見つけられないときもあります。せっかく書いた遺言書も無駄になってしまいますし、見つかっても内容を書きかえられてしまうおそれもあります。
・なくなってしまう、捨てられてしまうおそれがある
なくなってしまったり、最近ですと自然災害の心配もあります。また、あやまって捨てられてしまうかもしれません。
ご自分で書く遺言書は、手軽で、直しやすく、費用もかからないなどの多くのメリットもありますが、それ以上に、上のようなデメリットがあります。とくに内容に関する不備、は大きな問題で、ご自分の「こうしたい」お気持ちが、実現できなくなってしまいます。
また、ルールに沿って書かれた遺言書であっても、遺言・相続のことをよく知らずに書いてしまいますと、かえってもめ事になってしまうこともあります。
やはり、スムーズ、確実に遺言の内容を実現するためには、専門家がお手伝いさせていただく、「公正証書遺言」がおすすめです。
では次に、専門家がお手伝いさせていただく、「公正証書遺言」にかんしてご紹介させていただきたいと思います。