遺言書に書かれたことを実現するために、じっさいの手続きをしてゆくのがこの「遺言執行者(ゆいごんしっこうしゃ)」になります。あまりなじみがないとは思いますが、たいへん重要な役割りをもっておりますのでご紹介をさせていただきます。
8 遺言執行者の大切さ
・「遺言執行者」とは
文字どおり、「遺言の内容を実現していく人」です。遺言書に指名しておけば、この遺言執行者がひとりでいろいろな手続きを進めていく事ができます。ですので、遺言書に書かれたことがスムーズに実現していくようになります。
・どんなことができるのか?
銀行で預貯金を解約したり、家、土地の処分をしたり、遺言書に書かれたことを実現する一切のことができます。
・遺言執行者を指名しておくメリットは?
遺言執行者を邪魔することはできませんので、一部のかたの勝手な手続きも防ぐことができ、遺言書に書かれたことが実現されます。
本来であれば残されたかた全員の署名、印鑑などが必要な手続きも、一人で行うことができるため、みなさまが集まったり、連絡したりする手間もなくなり、スムーズに手続きが進みます。
・こんな時には指名する必要があります
ご友人などお世話になったかたに家、土地などを分けるときは、遺言執行者の指名がないと、残されたかた全員が賛成しませんと実現が難しくなってしまいます。また、身寄りがいらっしゃらないかたも財産を分ける手続きに支障が出てしまうため、指名の必要があります。
「あの子は私の子だ」と遺言書で認めたときは、遺言執行者を指名しておくことが法律で決められています。遺言執行者が手続きを行ってゆきます。
同様に「あの人(法律で決まっている相続人)には何もあげない(廃除)」と遺言書に書いたときも、裁判所に遺言執行者が申し立てをする必要があるので、指名しておくことが法律で決まっています。
・だれを指名するのか
遺言執行者は誰を指名してもよいのですが、未成年のかたや、破産しているかたはなることができません。また、もめ事を避けるため、財産の分け方に関係するかたは避けた方が良いと思われます。
あつかう手続きも多いですし、手続きの内容を考えると、法律に詳しい、わたくしども行政書士のような専門家を指名することをおすすめいたします。また、遺言書を書くときからお手伝いさせていただきますと、ご本人様からちょくせつお話をお伺いした専門家が手続きをおこなうことになりますので、まさにご本人様の「こうしたい」が実現することになります。
遺言執行者はあとでも指名はできますが、家庭裁判所に申し立てるなど、指名するまでの手続きや手間、費用も新たに発生してしまいますので、遺言書で指名しておいた方がよいでしょう。
とくにご自分で遺言書を書かれるかたは、遺言執行者を指名しないことが多いのですが、ご自分で書かれた遺言書の実現をお望みでしたら、指名しておくことをおすすめいたします。
次のページからは、遺言・相続に関して、あらたに決められたルールや、あたらしく始まった仕組みなどをご紹介していきたいと思います。